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小さい”つ”が消えた日

先週、読んだ本の中でとても心が温まった作品。
「小さい”つ”が消えた日」
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日本語から小さな”つ”がなくなってしまうと・・とっても困ってしまいます。それでなくても言葉や気持ちを伝えるのはとても難しいのに。「つ」がないと更に伝えたい事も上手く言えません・・・
とっても短くて読みやすいため、コーヒー・タイムにいっきに読んでしまいました。

「沈黙の素晴しさ」を伝えたかったと言う著者はドイツ出身で87年、来日し上智大学比較文学部比較文学科を首席で卒業し、その後もケンブリッジ、ハーバード、東京大学で経済学、哲学、社会学などを修め、ドイツ語はもちろん日本語、英語、フランス語、イタリア語が堪能なのだそうです。

そんな著者が日本語を学ぶときに一番苦労をしたのが、小さい「つ」だったそう。そして、その小さな「つ」を抜かすことで全く違う意味を発する間違いからこの本のアイディアが生まれたのだそうです。

五十音村に住む「文字」たちが毎晩人間が寝静まった頃に宴会を開きその日の出来事をお話するのですが、私達人間と同じようにそれぞれ性格も違えば、文化の違いもあり個性的。

そして・・・・エゴもある。

「あ」さんは五十音でもアルファベットでも一番だから自分が一番偉いと言うと、「ら」さんが本当は「見られる」「食べられる」なのに最近の若者は「ら」を使わなくなり、ら抜き言葉が有名になったから自分が一番!と、それぞれが自分が偉いと言うのです。

すると・・こんな声が聞こえてきたのです。
誰が偉いかと言うより、誰が一番偉くないか・・

それは小さい「つ」だよ!だって音がないんだもん。

小さい「つ」には音がない・・他の文字達がそれをバカにすると小さい「つ」は傷つき、自分は必要とされていないと感じ、
「ボクはあまり大切ではないので、村を出ることにしました。さようなら」と手紙を置き五十音村から消えてしまうのです。その日から日本語が大変な事になってしまうと言う物語。

唯一困らないのは政治家だけ・・

朝から晩まで演説している彼らなのに・・何故って?
政治評論家によると政治家の演説にはもともと意味がないから、日本語がおかしくなっても、意味が通じない事には変わりがないのだそうです。
納得(笑)

シンプルだけどポリティカル、
シンプルだけど愛がいっぱいです。

著者の伝えたい「沈黙」の素晴しさはもちろん伝わります。

が、
一つ一つの文字がとても大切なように・・
私達も一人一人も大切なのだという事。

文字と文字が「つながって」言葉を作るように。人間も「つながって」いるから色々な事が出来るのだということ。

音がなくても、その姿が小さすぎて見えなくても・・「あ」から「ん」。みんながいて、「つながり」に支えられているから生きていけるのだと感じました。

読み終えたあと暖かな気持ちになりました。おススメです。
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by lucykent824 | 2007-07-09 16:14 | Books | Comments(0)